第3回「新型コロナに関する外国人相談と保健行政の連携を図るための事例検討会」のまとめ

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2020年2月25日(木)18:30~19:30に、第3回「新型コロナに関する外国人相談と保健行政の連携を図るための事例検討会」が開催されました。

要点を以下にまとめます。

現在の新型コロナウイルス感染症対策、無保険者の対応、ワクチンについて (東京都北区保健所 所長 前田秀雄氏)

  • 11月下旬から第三波として日本人の感染が非常に拡大したために、外国人の問題は表面的にはマイナーになったが、外国人の置かれた状況を踏まえると非常に重要である。
  • 昨年の11月頃の内閣官房新型コロナウイルス分科会で、「早期検知しにくいクラスターへの対応」として、在留外国人に対する相談体制の整備等により早期検査等につながる仕組みを構築することが重要とされた。外国人とのコミュニケーション改善を通じて早期の検査あるいは受診・治療につなげるべきだとされた。新型コロナウイルス感染症の変異株については、入国時に検疫された方が43人いて、詳細には公表されていないが、かなりの数の外国人が変異株を有して入国したことがわかっている。一方で、国内事例も135例報告されていて、その多くが、入国・帰国者との関連性が見いだせない。また、変異株の感染は、大都市だけでなく、様々な地域で広がっている。
  • 無保険者の方(日本人も外国人も含む)の新型コロナウイルス感染症の検査費用について厚労省に確認して取りまとめたものは以下のとおり。

  • 最近、三重県で外国人の感染者が多数発生し、みえ外国人相談サポートセンター(MieCo みえこ)が相談員を増員して11言語での相談を受け付け、三重県国際交流財団が外国人住民の陽性者が急増した地域の保健所へ外国語対応可能な調査員を派遣する等の対応。
  • 新型コロナウイルス感染症に対するワクチンについては、区市町村から住民に個別に通知し実施するので、住民票がない人に対しては、リーチすることができない。厚労省は、このような状況の方についても本人から申し出があれば接種できるとしているものの、こうした情報が外国人の方に届くことが重要。
  • またワクチンについての外国語での説明や体調等について記録・報告する問診票の多言語化も非常に大きな課題となってくる。

保健所からの事例紹介(東京都中野区保健所 所長 向山晴子氏)

中野区の概況

シェアハウスや安価なアパートが多く、学生や外国人・飲食店勤務等の居住者が多い。従来から外国人の結核対策に積極的に取り組んでいる。外国人の新型コロナウイルス感染症患者には、ベトナム・ネパール・ミャンマー国籍者が圧倒的に多い。

事例紹介

  • A国国籍の40代男性。料理店の店長で、電話ではなんでも「はい」と応答していた。11月初めに発病し、症状持続のため4日後にクリニックを受診し、陽性判定。その2日後に都内の大学病院に入院。
  • 行動調査により、茨城県内と中野区に店舗を持っており、発病前日には茨城の店舗に足を運んだことが判明。この店舗では、7名のスタッフが陽性。中野区の店舗については、詳細がわからなかった。のちに、茨城県には、2店舗あることが茨城県の保健所からの聞き取りでわかった。店長に、体調不良者がいるか等質問しても、「はいはい」の回答で真意がつかめなかった。
  • 更に2名の陽性者が出たが電話でのやりとりが困難だったため、TOCOSのサービスを利用したところ、ようやく本人が安心して話してくれた。その結果、伝えたことが理解されておらず、店舗でのクラスター発生と思っていたら、A国コミュニティー内で発生したクラスターが店舗に持ち込まれた形であることがわかった。
  • その他、外国人の医療に関しては、地域のクリニックからは、電話なしの突然の受診、言葉が全く通じないこと、医療費の支払い、感染対策の不理解などについて問題が寄せられた。

事例からの反省・学び

  • 外国人の場合、簡易な医療・法律用語について通訳してくれて本人との信頼関係があるキーマンがいなければ、積極的に通訳サービスを導入することが望ましい。
  • 言葉のニュアンスがしっかり伝わっていなかった場合は、簡単に背景を伝えて通訳を依頼すると良い。
  • あいまいな返事を、鵜呑みにはしない。
  • 自宅療養となってしまうことが多いため、生活支援やオンライン診療の情報も重要である。
  • 伝わりにくい事項に関して、大事なことは「文書」で示す。
  • 技能実習生等の支援団体も活用する。

外国人相談からの事例紹介(仙台多文化共生センター センター長 菊池哲佳氏)

仙台市の事例

  • 2020年1月頃から新型コロナ感染関連の相談が寄せられ始めた。2020年3月下旬に仙台市の飲食店で、ALT(外国語指導助手)を含む複数人の感染が確認され、その後、感染への不安や、感染が疑われる症状を訴える外国人住民からの相談が急増。仙台市が設置した専門コールセンターに繋いでコミュニケーションの支援を実施。
  • 2020年5月頃から、日本語学校や専門学校の留学生を中心に生活困窮の相談が急増。仙台市社会福祉協議会と連携し、特例貸付の案内や申請予約の調整を実施したり、フードバンク仙台と連携し、多言語の後方協力や場所の提供を実施。
  • 2020年10月末に仙台市内の専門学校でクラスターが発生。学生寮を中心に、102名の感染が判明。保健所と連携し、外国人の濃厚接触者への聞き取りに際して、通訳によるコミュニケーション支援を実施。仙台観光国際協会企画部門、仙台市関係課等と連携し、外国人住民への感染予防のための情報発信を強化。

外国人相談窓口におけるコーディネーション機能の役割・必要性

  • 言語・文化の異なる外国人に対応するためのノウハウが保健・医療・福祉行政において十分蓄積されておらず、仕組みが構築されていない。
  • 外国人相談窓口は、個々のケースの支援に留まらず、様々な課題に対応するための仕組みづくり、ネットワーキングの役割を担う。保健・医療・福祉行政に必要なリソースをつなぎ、ソーシャルアクションにつなげるコーディネーターの役割を担うことが必要。

外国人への多言語情報発信について

  • 外国人への情報発信においては、日本人向けの情報を多言語化するだけでは不十分。「対話のある情報発信」や、リスクコミュニケーションを促進する観点が必要。つまり、行政機関が必要な情報を多言語で発信しても、それを必要とする外国人に届くかは担保されず、情報を受け取った人達が適切な行動をとるとは限らない。外国人住民側からも、自分がどういうことに不安なのか、わからないのかを言える環境を作ることが必要。

保健所を補完する外国人相談の調整アシスタント機能 (特定非営利活動法人国際活動市民中心(CINGA) コーディネーター 新居みどり氏)

2019年度時点で、保健所とワンストップセンターが連携しているというところはあまりなかった。そのような状況でコロナウイルス感染症の蔓延が起こり、感染者対応で逼迫している保健所を補完する、外国人相談の調整アシスタントの重要性が見えて来た。その機能は以下のとおり。

外国人に対して

  • 相談者の言語能力、在留資格、文化・宗教的背景、周囲の人的資源の情報を把握
  • 膨大な関連情報を相談者にあったように整理
  • 相談者があゆむであろう道筋を経験知から予測し、相談者にあった問題解決策を提案
  • 解決策をつくるために多様な組織・人・サービスとのネットワークをもち、それらの対応力や得意不得意についての評価軸をもち、つねにそれをアップデート

保健医療・行政に対して

  • 通常業務で対応することが少ない外国人特有の課題(在留資格、行政サービスの制限、言語、文化宗教的背景、偏見・差別)について適切で最新の情報を調べ、保健所等へ説明
  • 保健医療行政側と相談者の双方にとって達成できそうな最適な目標を設定し提示
  • 職員など日本人側がもっている外国人に対する思い込みを取り除く
  • マイノリティである外国人の視点を伝える役割
  • 外国人相談に対応できる多様な組織・人・サービスとのネットワークをもち、保健医療・行政が使いやすいように、調整・提示し、対応後にフィードバックし、関係機関の相互の経験知をあげ、今後の展開をよりよくする

数多くの感染者を調整する役割を担っている保健所の業務が逼迫している状況にあって、外国人は非常に細かい対応を必要とする場合が多く、保健所にとって大きな負担となりかねない。外国人相談が上記のように補完的なアシスタント機能を担うことができれば、大きな貢献になるだろう。経験知が多いワンストップセンターが、経験知がまだ少ないワンストップセンターに、情報や事例を共有する全国的なネットワークが必要ではないか。

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