【キーパーソンストーリー】NPO法人CINGA(特定非営利活動法人 国際活動市民中心)新居みどり氏 その1

インタビュー(ソーシャル)

みなさん、こんにちは。

NPO法人CINGA(特定非営利活動法人 国際活動市民中心)の新居みどりです。

本日は、包括的電話相談の視点~外国人と日本社会の橋渡し~というテーマで、私達の活動をお話しさせて頂きます。

 

CINGAについて

私たちCINGAは、外国人支援に関わっている専門家のネットワークです。

弁護士や行政書士、精神科医、労働相談員など、約40名の会員がネットワークをつくって活動をしています。

その中で一つ、大きな仕事として、外国人相談事業を立ち上げてやっています。

CINGA自体は今、相談事業として、四つのセンターを受託して運営しています。

今年2020年4月17日に、東京都の外国人新型コロナ生活相談センターがオープンしました。

東京入管の外国人総合相談支援センター、埼玉外国人相談支援センター、東京の赤坂のJETROの中にあります東京開業ワンストップセンターなども受託して運営しています。

本日は、電話相談で行っている東京都外国人新型コロナ生活相談センターの概要と、現場で感じる課題をお伝えしたいと思います。

東京都外国人新型コロナ生活相談センターの概要と相談内容

東京都が、外国人のコロナ感染に関して、生活相談、そして通訳提供が必要という課題意識を持たれ、4月17日にオープンしたセンターです。

正式名称は、東京都外国人新型コロナ生活相談センターで、通称TOCOS(トコス)と呼んでいます。

平日10時から5時まで電話での相談を受け付けていて、フリーダイヤルで14言語に対応しています。

こちらは東京都が発表しているTOCOSの相談件数です。

電話相談開始日から、最初の40日間で1935件の電話かかってきています。

私たちCINGAは、15年以上、外国人相談、特に専門家相談をずっと小さくやってきましたが、その経験から、東京で外国人向けの相談センターオープンのご相談を受けたときに、こだわったことの一つは、相談電話をフリーダイヤルにしてほしいということでした。

多くの日本人は、携帯電話を持っていたり、ご自宅にも電話がある状態ですが、外国人は電話がなく、SNSのみの人もいます。

そのために、電話がなくても、公衆電話からでもかけられるように、無料の電話相談にしてほしいということをお願いしました。

また、もう一つのこだわったことは、コロナ禍で、電話がつながらないストレスを軽減するための、電話相談の応対方法です。

相談員を配置することと同時に、言語で人を振り分けるのではなくて、まずは、全員、やさしい日本語で対応して、そこで、相手の方も日本語が少しできて、情報提供程度で済むならば、そこで情報提供をどんどんして対応を終え、次の電話に対応していく。

一方で、その方が母語や、日本語よりも得意な言語がある場合は、その言語にすぐつないで、相談員が多言語対応するというようにやってきています。

ですから、ここの数字の半分以上978件が、今、言っているやさしい日本語対応というようになっています。もちろん、日本人からのご相談もありますので、その分も含まれています。

このようにして、できるだけ電話効率を上げて対応しています。

ちなみに、トコスの電話相談センターは完全クラウド型です。相談員さん30名ほどお願いしておりますが、全員ご自宅でパソコンや携帯電話を使って電話対応していただいております。電話対応している人がコロナに感染しないようにという配慮で、こちらを立ち上げました。

こちらの図は、相談内容の内訳になっています。

トコスの相談センターでも、「経済困窮」が多いです。

「経済困窮」は、個人の方が自分の生活が苦しいということ、その次に多い「企業経営」とは、お店をされている、または会社をされている方々が、自分の会社経営が苦しいというご相談で、こちらも大変多くなっています。

そして、もちろん、「健康相談」というのも、相談として入ってきています。

相談内容に関しては、やはりお金がないというご相談が多く、あとは、コロナにかかっているのではないのかという心配や、帰国ができなくてホテルを紹介してほしいといったご相談などもあります。

これがコロナ禍での相談だったのですが、それ以前に他の相談センターで受けた相談の相談内容で多かったのは法律の領域、教育の領域、行政の領域、そして心の医療、心の相談です。

大体、割合的にいうと、法律相談、つまり、在留資格に関連する相談が6割~7割で、その他に教育相談、行政の相談、心の医療の相談というのが入ってきています。
TOCOSもそうですが、外国人相談の特徴として相談が絡み合った状態でやってくることがあげられます。

新型コロナ感染拡大下における外国人支援の現状(3つの壁)

外国人の方々にとって困ることが起きるとき、その背景に3つの壁があるとよくいわれています。

それは、法律・制度の壁、ことばの壁、そして、こころの壁です。

これらの3つの壁に関して、平常時とコロナの影響下において、どのような違いがあるのかというのを、上の表で、整理してみました。

まだ、課題性のところまで突き詰められていなくて、現状での整理となります。

①法律・制度の壁

現状として、平常時、法律制度の壁に関連しますと、厳格な在留資格に関する運用があり、行政サービスも、ビザ、在留資格によって制限がかなりあるのですが、コロナの影響下においては入管も、申請の更新や延長措置をとったり、運用に関しての変更があり、行政サービスもコロナの影響を受けて、拡大方向にあるのかなと思っています。

一方で、平常時でしたら、対面相談、外国人相談が、東京でしたら、かなり多くの自治体で行われていますし、専門相談、例えば、弁護士会なども相談対応ができていたと思うのですが、コロナの影響下において、その対面相談が大多数閉鎖されました。

②ことばの壁

ことばの壁に関しては、平常時ですと、東京の自治体では、コミュニティー通訳の派遣制度を国際交流協会とともに構築しているところもあるのですが、そういった制度で赤ちゃんの検診や、学校教育の現場に通訳さんが派遣されていました。

コロナの影響で感染防止の観点から、通訳を派遣することができなくなり、いろいろな場面での通訳の派遣とかが止まってしまっていました。

また、自治体や国際交流協会の相談窓口で、多言語の情報提供を一生懸命やられていたと思いますが、リモートワークなどの関係があって、行政関係の相談窓口の多言語対応がやはり閉鎖されてしまいました。

外国人の方々が、相談できるいつもの所に行こうと思っても、そこが閉まっていて、通訳を頼もうにも、人が来てくれないというようなことが起きていました。

そのため、東京都のTOCOSでは情報提供や相談に加えて電話通訳、3者、4者、場合によっては5者通訳というような形で電話での通訳を積極的に対応しています。

今、TOCOSの相談センターでは、東京都内に限られてはいるのですが、ご依頼があったら電話で14言語対応の通訳をさせていただいております。

言葉の壁の中でいうと、地域で日本語教室が、草の根レベルで一生懸命展開されてきていました。そこは、実は、外国人の方々にとってのセーフティーネットの一部であったと思っています。

日本人のボランティアさんが、もちろん日本語の学習の支援をしながら、おしゃべりをしたり、ちょっと分からない日本の書類などを教室に持ってくるとそこで読んであげたり、書けない書類があると一緒に書くのを手伝ってくれたりするような、やさしい日本語による伴走支援が行われてきていたと思います。

この日本語教室は、オンラインでは行われていますが、対面での教室は、かなりの数が閉じてしまっています。

私は、実は、この地域にある日本語教室の閉鎖の影響が一番大きいな、と電話相談をしていて思います。

私たちTOCOSでは、電話相談でプロの相談員たちが、経験と、そして、知識を持ち、母語でご説明を差し上げることできます。

しかし、電話機から、手は伸びていきません。

実際に書類を書かなければならないとか、実際に、その人の部分に入っていこうと思うと、人の手が必要なのです。

人の手が今ない。それが、とても大きな課題だなと思います。

③こころの壁

最後に、こころの壁に関してですが、平常時、私達専門家やコーディネーターが、電話相談で、相談者に心の不調があるなと感じていても、本人が自覚できていないことは多々ありました。

心の相談として医療機関につないだほうがいい場合があったとしても、ご本人にそれを提案しても、なかなか医療機関の受診や、カウンセリングにつながりにくい状況がありました。

しかし、コロナの中においては、混乱状態です。

社会が混乱していて、みんなが大変だ、しんどい、つらい、と言っている中で、自分もつらいと言ってもいいという雰囲気があるなと感じています。

だから、平常時よりも心の不調を訴えやすいのではないかなというふうに感じています。

私たちTOCOSでは、もちろん傾聴ということでお話は聞きますが、専門の医師や、カウンセラーにつなげたほうがいい場合に関しては、CINGAとして専門家相談をずっとやってきているので、オンラインでカウンセラー、または精神科医がお話を聞くというのをやっています。

もちろん、通訳を付けてです。

また、精神医療のほうも、今、初診から遠隔診療が可能な病院があります。
私たちが連携している病院も、遠隔診療が可能ですので、初診からオンランで受診が可能ということもあります。

一方で、今まで外国人相談は、私たちの東京神保町の事務所に来てもらってやることが多かったのですが、特に、心の不調な外に出ることができない状態の方々には、医師やカウンセラーが、オンラインでカウンセリングを行いますが、外に出る行為を伴わない状態でカウンセリングを行い続けるときに、どこまで支援するのか、見極めがすごく難しいなと感じています。

外国人相談を機能させるために

私たちは、「外国人相談事業」として電話線を引いて、相談員を置いて対応するだけで、全てが解決できるとは思っていません。

それだけではなくて、下に書いてある「外国人相談」というものが、とても大事だと思っています。

どういうことかというと、在日外国人で、長く日本に住んでいる人が、同国人のコミュニティーで、お話を聞いたり、奮闘されています。

それと同時に、外国人の周りには、日本人もたくさんいます。

特に、日本語教室とか、外国人の方が、子どもさんがいる場合は毎日子どもを送っていく保育園の保育士さんですとか、職場ですとか、継続的に会って、しゃべれる日本人の方々はいらっしゃると思うのです。

そういった、さまざまな場所、多様な関係で行われているところで、多分、外国人の方々も、「ちょっと困ったことがあるのです」とか、「こんなことが起きて、ちょっとどうしたらいいか分からなくて」ということをおっしゃっていると思うのです。

そういう話を聞いたときに、そこにいる日本人側の人が、つまり、地域の人が、「TOCOSという相談センターがあると聞いたよ」、「こういう情報が新聞に書いてあったよ」とか、「外国人のワンストップセンターがあると聞いたよ」というように、外国人相談事業を知ってもらって、「よかったら電話してみたら」とか、技能実習生は、電話機を持ってない人もたくさんいるので、「電話機貸してあげようか」とか、「私も一緒に聞いてあげようか」といったようにつないでもらう。

このような包括的なつながりを作っていかないと、いくら立派な多言語の相談事業を行ったところで、相談は入ってきません。

私達は、やっぱり、人と人とのつながりがあるところに情報を届けないといけないと思っているし、それは、日本人に、このような相談事業があるという情報を届けなければいけないのではないかというように思っています。

※本内容は、2020年8月27日に開催された「みんなのSDGs」COVID-19とSDGsシリーズ 第2回オンラインセミナー SDGsと新型コロナ: 在日外国人を取り残さないために (生活編)の内容をもとに作成しました。

 

新居みどり:NPO法人CINGA(特定非営利活動法人 国際活動市民中心)

NPO法人CINGA(特定非営利活動法人 国際活動市民中心)

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差別、偏見、格差、貧困、ヘイト、争い、非寛容・・・etc. いま、地球には、ヒトがつくりだしたこれらマイナスイメージの言葉が飛び交い、地球のあちらこちらに凸凹(デコボコ)を生じさせています。 ヒトと地域のさまざまな価値とそれぞれのヒトたちが持つ歴史や文化のバックグラウンドを学び、そして認め、尊重し合うことでその歪みを...

東京都外国人新型コロナ生活相談センター(TOCOS:Tokyo Coronavirus Support Center for Foreign Residents)
http://www.cinga.or.jp/cinga/wp-content/uploads/2020/04/TOCOS.pdf

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