【キーパーソンストーリー】NPO法人CINGA(特定非営利活動法人 国際活動市民中心)新居みどり氏 その2

インタビュー(ソーシャル)

みなさん、こんにちは。
NPO法人国際活動市民中心CINGAの新居みどりです。
今回は『外国人相談と保健医療へのアクセス』というテーマで現在取り組んでいる活動を中心にお話ししたいと思います。

東京都外国人新型コロナ生活相談センター概要

私はNPO法人CINGAでコーディネーターをしています。また、東京都外国人新型コロナ生活相談センター(通称TOCOSトコス)の統括コーディネーターも兼務しています。
TOCOSは、東京都が4月につくった相談センターです。新型コロナが騒がれ、東京オリンピックの延期が決まった辺りに、東京都からご相談を受けました。
CINGAは東京にあるNPO法人で、今年で16年目の活動になりますが、今まで、相談センターの運営を行ってきたスキルを活かして、協力事業ということでTOCOSを立ち上げました。
平日の10時から5時まで、フリーダイヤルで電話相談をやっています。言語は、14言語対応で、フランス語が公用語の国からきたアフリカ系の外国人にも対応できるように、フランス語対応していることが特徴の一つです。

TOCOSの特徴は、東京都がつくっている相談センターであり、CINGAというNPOがノウハウを提供していることです。
TOCOSを立ち上げるときに、以下のことを想定して立ち上げました。恐らく、都内にある帰国者・接触者相談センターに日本語で電話しても、対応してもらえない外国人たちが電話をかけてくるが、TOCOSから、帰国者・接触者相談センターにもう一回、電話をつなぎ直すということは非常に難しい。だから、TOCOSが東京都のセンターである以上、福祉保健局とも連携をして、ここで濃厚接触、または感染の可能性がある方を受け止めて、そして保健所につないでいく必要があるだろう、と考えました。そして、新型コロナ対応に関する研修を受けて、相談マニュアルもつくり、ぎりぎりのところまでTOCOSで相談を受けてから、保健所のPCR検査につないでいこうという作戦を立てていました。

TOCOSは4月17日にオープンしたのですが、その日に新型コロナ感染が疑われる方から電話があり、対応しました。しかし、病院側から外国人の受け入れに慣れていないので、言葉ができる人を連れてきてほしいと言われました。しかし、感染症にかかっているかもしれない人に、同行で通訳を付けることは絶対できません。そこで、保健所と東京都の方々に調整していただいて、最終的にはTOCOSが電話通訳をすることになりました。
感染しているかもしれない方に、自分の電話からTOCOSにかけてもらい、そのまま携帯電話をスピーカーフォンにして、そこからうちの通訳が大きな声で、「ここに通訳がいます」「この電話に向かってしゃべり掛けてください」というような対応を行いました。

電話相談の内容~多領域に複雑にからみ合っている

TOCOSの相談センターには、色々な領域に絡み合った問題を持つ方々から相談がきます。
左側に出ている円グラフは、TOCOSのオープンから約40日間で来た相談件数の分布です。1日100件ぐらいの相談がきていて、その相談の中で、複雑に絡み合っている事例を挙げてみました。
例えば、在留資格が「技術・人文知識・国際業務」(技人国)の方で、英語の教師をしていたのだけれども解雇をされて、精神的に不安定な状況になっていて、住むところもなくて所持金もないというご相談がありました。
また、健康相談として、せきが止まらずコロナかもしれないので病院を受診したいけれど、健康保険に加入していないのに、「かかりつけ医に行ってください」と言われて困っているというご相談。
さらに、コロナで仕事を失った日本人の夫の機嫌が悪くて、毎日おびえた生活をしているというご相談や、もうすぐ在留資格の更新が来るのだけど、夫が協力してくれなくて本当に不安だといったご相談。
つまり、コロナという名前での問い合わせではありますが、健康面、労働面、在留資格のこと、生活のことを含めて、いろいろな相談が絡み合ってやってきているという状況があります。

TOCOSの特徴

TOCOSは、NPOである私たちCIINGAと東京都、そして東京都国際交流委員会という3つの組織が協力してつくっている組織で、相談員さんたちは、プロの相談員です。
言語も、日本語と自分の母語、両方対応できる状態でどんどんお電話を取って対応いただいています。
TOCOSの相談センター機能としては、情報提供のほか、相談対応と通訳機能があります。
しかし、TOCOSだけで外国人の相談に対応するには限界があり、公的なセンターと市民活動とが連携をしていかないとなかなかうまくいかないと私たちは考えています。

外国人のための電話相談の全体像

2018年の12月の入管法改正以降、2019年度総合的対応策を国が出して、外国人受け入れに舵を切り、その中で、全国に100カ所以上のワンストップ相談センターがつくられました。外国人のための電話相談の全体像は、大きく分けると5つぐらいに分けられると思います。
国レベルの相談センター、都道府県とか政令指定都市レベルの相談センター、基礎自治体や国際交流協会の相談センター、弁護士会など専門家が集まってやってらっしゃる相談センター、最後に、NPOやNGOがやっている相談対応の5つです。
国レベルでいいますと、今、一番大きいのは、東京四谷に外国人在留支援センター:フレスクというのがオープンしました。ここは対面での相談や、電話相談をしている大きな相談センターです。そのほか国レベルとして、CINGAが入管から受託しています、外国人総合相談支援センターや、外国人技能実習生のための外国人技能実習機構母国語相談センターといったような、国レベルでつくっている相談センターがあります。
先ほど私が100カ所のワンストップ相談センターができましたと言ったのは、この2つ目です。都道府県や政令指定都市、あと、今は市町村単位でも申請できていますが、そういうところにも、今、百四十弱ぐらいのワンストップ相談センターができています。
次に、基礎自治体。非常に小さな町でも相談のコーナーを作っているところもあります。あと、大事なのは、自治体国際化協会や、国際交流協会といわれるような財団法人やNPOなど、いろんな形式がありますが、半官半民で作っているような国際交流協会が日本全国にあります。そういったところでも相談事業をやっています。
4つ目に、弁護士会や行政書士会、労働組合も相談対応されています。
そして、最後にNGO、NPOなどもあります。

全国規模で考えると、先ほど言ったワンストップ相談センターが規模として大きいと思います。このワンストップ相談センターの一覧表が、法務省のホームページで公開されました。ただ、すごく見つけにくいところにあるので、ここにURL公開しています。

外国人相談から保健所へのつなぎに関しては、保健所は多くの場合日本人の方々の対応がメインで、外国人対応に慣れていない場合があります。特に、地方では、ワンストップ相談センターが、在留資格や、国の制度をしっかりと理解して説明していかないといけません。うまくいった事例をワンストップ相談センターの中で共有し、ノウハウを蓄積していって、仲介者や調整役としてコーディネートすることが大事だと感じています。

外国人相談と保健医療へのアクセスの課題

外国人ワンストップ相談センターの相談事業は、様々な場所で行われていますが、大きく二つの課題を提起したいと思っています。
一つ目は、相談センターの電話相談や対面相談にたどり着けない人のほうが圧倒的に多いということです。外国人の相談センターはできました。電話もつながって、そこに相談員も配置されて、いろんな対応ができるけれども、そこに外国人の方がいきなり電話するのはかなり難しいと私は考えています。例えば、私自身に困ったことが起きたときに、いきなり自分が住んでいる町の区役所とか市役所に電話して相談しないと思います。私自身が困ったときも、多分、最初は携帯電話かネットで調べたり、家族や友達に聞いたり、あと、そういうことに詳しそうな人に聞こうという順番にいくと思います。それは、外国人の方も同じだと思います。もちろん同国人とか母語のネットワークで、コミュニティーに聞く方も多いでしょうし、家族に聞く方もいるだろうし、場合によっては国外にいる家族に聞くっていう人たちだっています。と同時に、それじゃ分かんないなというときは、恐らく身近な日本人に聞かれるのではないかなと思います。そういうときには、地域日本語教室といわれるような日本語を教えるボランティアや会社の同僚などに聞かれているようです。意外と多いなと感じたのは、自分に保育園に行く子どもがいる場合、保育士さんに聞く方です。それは結局、自分と関係性があって、継続的に出会っている方で、自分の話をたどたどしくても日本語で聞いてくれて、こうしたら、ああしたらって言ってくれる信頼関係がある方々だと思います。

ですので、私はワンストップ相談センターをつくって、その情報をダイレクトに外国人に届けることも大事ですが、できるだけ多くの日本人に届けることも大事だと思います。民生委員さんでも、保健師さんでも、かかりつけのお医者さんでもいいです。そういう方が、自分は在留資格のことはよく分からないけど、ここに相談したら、というようにワンストップとかにつないでもらわないと、なかなかたどり着けない人の存在に対応していけないし、まして在留資格が不安定な長期滞在の状況や、先ほどコロナ禍において不安定な状況に陥った方々は、たどり着けていないのだと思っています。

次に、二つ目の問題提起ですが、私たちのTOCOSの相談センターは、保健所とは何とか連絡を取り合えます。しかしながら、病院と連絡を取るのは非常に難しいです。通訳一つとっても、私たちは病院の通訳はしていません。外国人相談の通訳と、医療通訳では、必要なスキルが異なります。病院との連携は、どう繋いでよいかがわかりにくいので、とても大きな壁を感じています。ここに自治体の役割があると思います。
外国人相談事業は、地域という大海においてはとても小さな存在で、みんな、そんなの知らないっていうのが普通です。そういった状況で私たちは何ができるのか。ここに参加されている皆さんと一体何ができるのか。SDGsの観点からどういったことをやっていかなければならないのか。そこを考えていかなければならないと私は思っております。

※本内容は、2020年10月7日に開催された「みんなのSDGs」COVID-19とSDGsシリーズ 第3回オンラインセミナー SDGsと新型コロナ: 在日外国人を取り残さないために (保健医療アクセス編)の内容をもとに作成しました。

新居みどり氏:NPO法人CINGA(特定非営利活動法人 国際活動市民中心)

NPO法人CINGA(特定非営利活動法人 国際活動市民中心)
https://www.cinga.or.jp/

東京都外国人新型コロナ生活相談センター(TOCOS:Tokyo Coronavirus Support Center for Foreign Residents)
http://www.cinga.or.jp/cinga/wp-content/uploads/2020/04/TOCOS.pdf

 

 

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